小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

moonlight 改稿版(後編)

INDEX|91ページ/104ページ|

次のページ前のページ
 


『冷たい夜に キミの名を呼んだ
 その声は閃光のように かき消された

 こんなにも想っているのに 何で遠ざけるの?
 ねぇ 教えてよ!
 わたしのナニがイケナイの……

 月の光の中で 私は見ているわ
 背中からキミを包み込んで
 一緒に行きたい わたしの『勇気』を与えたい
 「側にいたい」と叫んでいる

 雨降る夜に キミの涙が映った
 黒く塗りつぶされて 涙があふれた

 この雫を照らしたい キミを輝かせたい
 ねぇ 教えてよ!
 わたしにデキルコトを……

 キミの手を わたしがつかむわ
 「いつも側にいるから」
 振り返れば いつもここに立っている
 キミの力になりたいから』

 ネオからの、胸に痛いほど伝わる自分への気持ち。
 実緒の胸にぽっかりと開いた孔に、ネオから貰った、金色にキラキラと輝く月の雫で埋めつくされる。自然と涙が零れる。
 間奏に流れるエレキギター、エレキベース、ドラムの優しい音色が、自分を闇から引きずり出していく。
 そして、ネオが実緒の手を――

『その手をつかんだ瞬間 扉が開いた
 一緒に行こう
 わたしたちはひとりじゃない
 もう 怖いものはないよ』

 涙で濡れた瞳を輝かせて、力強く――

『キミの手を わたしがつかむわ
 「ここにいるから」
 振り返れば いつも叫んでいる
 キミの名前を

 あの月の光の中で

 見守っているから……』

 歌にのせて、実緒の手を強くつかみ、光の世界へと連れ出した。
 ネオは涙を見せながら、精一杯の笑顔を作る。そしてメンバー全員で、聴いてくれた観客に一礼した。
 学生や大人たちの心に響いたのか、彼女たちが舞台から降りるまでの間、会場は暖かい拍手に包まれた。
 そして実緒は、
「……う……ううっ」
 跪(ひざまず)き、学生たちの後ろで泣き続けた。茜が、彼女の背中を擦(さす)った。
 実緒の瞳から伝っているそれは、黒ではなく、純白の涙だった――。