moonlight 改稿版(後編)
「待ち人来ず、って感じだな」
「隼人」
下駄箱の方から、夏服姿の片平隼人がアクエリアスを持って、彼女の下へとやってくる。
「ほい」
「あ、ありがとう」
アクエリアスを渡し、茜の左隣に座る。
「隼人っていっつもこれだよね」
茜はペットボトルのラベルを見つめる。
「しょうがねぇだろ。好きなんだから」
ゴク、ゴク、と喉(のど)を鳴らして飲む。
茜も隼人に続く。
「ぷっはぁーっ! ……ねぇ、ホントに来ると思う」
茜は隼人に訊ねる。
「さあな。麻倉が言うんなら、来るんじゃないか」
「何よ、その根拠」
「彼女を信じているから、待っているんだろ?」
「そ、そうだけど」
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ