moonlight 改稿版(後編)
「それじゃあ……最後にふさわしく、とびっきりちょ――――――ういい曲を歌うからさぁ、それでいい?」
とネオは観客に訊ねる。
「いいよ――――――っ!!」と女子学生の声、「やれやれ――――――っ!!」と男子生徒の声。
『あの曲』を歌う準備は整った。
しかし。
この舞台の『主役』がまだいない。ネオの想いが詰まった歌を捧げる唯一無二の親友。
そう、彼女が……。
――実緒。
朝と放課後に学生が行き交う下駄箱前の階段で、総合祭実行委員長の大山茜がブレザーを膝にかけて座っている。
「はぁ〜」
雲一つない青空の陽気に似合わないため息が漏れる。
ここに座って、かれこれ1時間弱が経過。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ