moonlight 改稿版(後編)
みちるの重厚(じゅうこう)なギターの響き、健斗のドラムさばき、そして、間奏のときに、
「かっこいい――――――!!」
と女子学生から言われながらも、みちると一緒に前へと出て、楽しそうに曲を引き立て、自分のエレキベースのテクを見せつける巧。本番前のうじうじした彼とは違う。今日もエンジン全開だ。そして、リーダーであるネオの歌唱力。
曲が終わるたびに拍手喝采(はくしゅかっさい)、歓声が轟(とどろ)く!
その大波に乗るかのように、自分たちのボルテージも高くなる! 自分たちの音楽で!
まさにネオが望む『自分たちと観客がこの瞬間だけ一つになる』ステージへと登りつめていった。
そして、時間はあっという間に過ぎていき、
「えー、楽しい時間も残念ながらね、これが最後の曲になって、」
「ええ――――――――――っ!?」
ライブではつきものの、残念がる観客たちの声。
「もう時間がないんだぁー、次のプログラムがあるからねぇ……」
ネオは残念そうな声音で観客に答える。
「嫌だ――――――っ!!」「まだやって――――――!!」という声が聞こえる度に、ネオに笑みがこぼれる。諦めずにバンドをやってよかったと思える。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ