moonlight 改稿版(後編)
「はいはい、おふざけはここまでにして……あの子はまだ、来てなかったのよね?」
みちるが健斗と巧に確認する。
「はい。実緒さんは、どこにも……」
「そっか……」
ネオの顔が暗くなる。
――やっぱり、そうだよね。
そんな言葉を胸の内で思っているネオに、
「大丈夫さ」
みちるが声をかける。
「あんたの気持ちはちゃんと届いている。最後のとっておきまでには必ず来るはずさ。信じてみようよ。なーに、来なかったら機材ごと実緒の家に運んで、意地でも生音(なまおと)届ければいいんだよ!」
そんな無茶な、とネオは苦笑い。しかし、励ましてくれる友の声に、鼓動(こどう)が止(や)んだ。
「うん。大丈夫。ありがとう、みっちぃ」
張りのあるしっかりとした声音でネオは答えた。
「すいませーん! そろそろスタンバイをお願いしまーす!」
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ