moonlight 改稿版(後編)
終わったら……またあの悪夢が――ライブ終わりに、また女子たちからサインを求められるのだろうか。
「あ、ああいうの、俺、苦手なんですけど……」
「何? タッくんのくせに先輩にケチ付ける気? それとも毎回あのようにできないってわけ?」
巧の申し出にムッとなるネオ。
彼は焦ったように、
「い、いや、ライブはちゃんとやりますけど……あ、あのですね……アレは、体が勝手に……あの人の多さで目が眩(くら)んで、無意識にああなってしまいまして……」
「嘘つけ!」
健斗が鬼のような形相で巧を見つめる。
「け、健斗!?」
「巧おまえ、お客さんと一緒にものすごく楽しんでいたじゃないか! 勝手に出しゃばって、そしてオレより先に女子たちの人気者になりやがって! ……いいか! 今日はおまえよりも俺が一流ってところを見せてやる!」
「ええっ!?」
目から火花を散らす健斗に、巧は動揺する。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ