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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight 改稿版(後編)

INDEX|75ページ/104ページ|

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 一方、
「緊張しますね……」
 と巧。緊張のあまり、手が震えている。
 彼は昨日言われたように、いつもの暗い雰囲気から脱却(だっきゃく)――いや、「自分を変えたいんなら、まずは服装からよ!」とネオに指摘され、彼女とみちるの自腹(バイトで貯めたお金)で買った、ビジュアル系バンドが穿いてそうな、彼の細い脚を美しく目立たせるスキニーチノ。腰のベルトはギラギラと銀色に輝いている。そして、他のメンバーのような緑色の体育館シューズではなく、黒のブーツを履(は)いている。本来はいけないが、今日は緑のシートが講堂中に敷かれているので問題ない。そして最大にして最強の武器、顔が整ったこのイケメン顔。いかにも某男性アイドル事務所でデビューできそうなテイストだ。
 その服装に似合わない、ガチガチの強張った顔をしている巧に、みちるは肘(ひじ)で脇腹をつつき、
「とか言って、ロックフェスのときは、相棒のベースを楽しそうに引いていたクセに」
「そうそう、今日もアレくらいやっちゃてよ!」
 ネオにも背中を軽く叩かれる。
「は、はあ……」
 どうしたらいいんだろう、と巧は思う。