moonlight 改稿版(後編)
「何があったんだろ?」とクラスメイトの男子。
午前中に運営当番になった実緒のことを、クラスメイトのみんなが気にかけている。
その声を聞いて、ネオはすごく嬉しかった。
実緒には、帰る場所があることを。自分を始めとするクラスメイトは、彼女が来るのを待っていることを。
――それを……今日、伝えてやるんだ!
やってやる!
責任重大だ……ネオは、気の引き締まる思いで講堂のステージを見続けた。
先にジャズ演奏をやった、三人の先生のインタビューもあと少しで終わる。
それを余所(よそ)に、moment'sのタイムシフトが近づくにつれ、ステージ裏からでもはっきりと聞こえるくらい、学生たちの人数や大人や子供のざわつきが大きくなっている。毎月やっている学校でのライブや夏休みのロックフェスに参加した結果なのかもしれない。
ガチャ! と講堂内を偵察(ていさつ)した健斗(けんと)と巧(たくみ)が戻ってくる。
「人がものすごく集まってきたっス」
健斗がネオたちに報告する。
彼は頭に部活でも使う白のバンダナを巻き、両手には黒の指ぬきグローブ、ズボンは青のデニムと、いかにもカッコつけた着こなしをしていた。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ