moonlight 改稿版(後編)
そのときからだ。
親友が暗い何かに憑(と)りつかれているような気がしたのは……。
――その予感が的中する。
「ねえ、こいつの机にラクガキしようよ」
性格が気にくわないからさぁ、という理由で、クラスメイトの机に毎日、友達と共に「死ね!」とか、「消えろ!」とか、卑劣(ひれつ)なラクガキをしていたのだ。そして、それをネオにも書いてもらおうと考えていたのだ。だって、
「あたしとネオは『親友』、でしょ?」
――こんなの、あんたなんかじゃない……。
母親の言いつけで善悪(ぜんあく)の線引きがはっきりとしていたネオは、
「こんなの間違っている!」
と抵抗し、親友に、
「他人が見ないところで悪さをするヤツほど、卑怯(ひきょう)という相応(ふさわ)しい言葉はないわよ!」
必死に訴(うった)えた。同時にここで自分と彼女の関係を崩してはいけないとも思った。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ