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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight 改稿版(後編)

INDEX|69ページ/104ページ|

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 実緒はその場に座り込んで憔悴(しょうすい)した。
 自分がコーディネートしたピンクの部屋も黒く染まっているように見える。
 置いてある絵を見つめるたびに、破れたり、ラクガキされた絵ばかりが脳裏に浮かぶ。自分を否定されて、ズタズタされた自分。そう思うだけで、周りも敵だらけに見える。
 そのことを、自分のことを親友と呼んだ人にも言ったのだ。私を助けるひとは、もういない。
 実緒の心は、絶望感でいっぱいだった。この心はもう……今日見たあの夢のように誰か……。
 すると、
「シー、ディー?」
 昨日何もなかったはずのローテーブルの上に、CDケースが置いてあった。
『いい曲だから聴いてみて』
「……?」
 母親が書いたメモが貼っており、実緒はとりあえず書かれた通り、ケースを開けてCDを取り出し、再生した。
「!」
 その歌声に、実緒の目が大きく見開いた。
 この声は、ネオちゃん?
 ゆっくりと始まる旋律(せんりつ)から、彼女が力強く歌い上げる。その声は優しさで溢(あふ)れ、実緒の心に強く響く。