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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight 改稿版(後編)

INDEX|70ページ/104ページ|

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 まるで、自分のために歌っているような気がした。ひとりじゃない。一緒に行こうよ、見守っているから、と言われているみたいだった。自分のことを、存在を、認めてくれている。
 自然と、涙が溢れた。
 そして、曲が終わった後、
『実緒へ』
 彼女からのメッセージだった。
『お元気ですか。うーん、やっぱり親友に対して『ですか』って改まって言うのは気恥ずかしいなあ、あははは。……普通に、わたしなりの言葉で言うね。
 最近はどう? 実緒が元気でやっているのか、すごく、すごーく、心配だよ。あの雨の日からずっと考えているんだよ!
 あの日は本当にショックだった。なんでって? そりゃあ、実緒がわたしから離れてしまったからだよ。こんなこと小学生の頃に続いて二度目だよ。
 何度も言うけど、ホントに、本当にショックだった。悔しかった。なんでまた、親友の悩みに気づくことができなかったのか……うー、思い出すだけで自分に腹が立つなあ。
 本当に、最低だよね……ごめんね。
 わたしは……わたしはね、実緒のことは本当にバカになんてしていない! これだけは事実! それに、みっちぃだって、健斗(けんと)やタッくんだって、すごいと言ってくれたんだよ。本当なんだから! moment’s(モーメンツ)は実緒の絵を大絶賛してるよ! 認めてるんだよ!
 だから……聞いてほしいものがあるの!
 わたしの気持ちを――今さっき流れたこの歌を、直接実緒に届けたい! CDではなく、生の声で!
 わたしが気がづいたように、実緒にも『ひとりじゃない!』っていうのを! 傷つけられても、わたしたちmoment’sがいつまでも味方だってことを! いつも背中から見守っているってことを!
 だから、怖いかもしれないけど……学校に来て! 『騙(だま)された!』と思って来てみてよ! わたしたち――わたしが、実緒のために用意したこの曲を、最後に届けたいから!
 今日の総合祭――午後二時から一時間半、わたしたちのライブがあるから、最後の曲までには……来てね。必ずよ!
 めちゃくちゃな言い分になっちゃったけど、これがわたしの本音だから。この想いだけは、変わらないから!
 だから……待ってるよ!』