moonlight 改稿版(後編)
彼女は呆然と見つめる。なんという暖かい光。幸福に満ちているみたいだ。
(それが、アンタの望みね)
「えっ?」
自分と同じくらいの女性の声が聞こえた瞬間、テレビゲームのように空のグラフィックがパッと緑豊かな星が輝く丘へと変わり、彼女はそこに立っていた。星たちは強く光を放ち、しっかりと存在証明をしている。
その中心には大きな満月。
そこから、
(その願い、叶えてあげる)
大きな満月が光を放った瞬間、彼女の前に白く輝く、自分より少し背の高い女性のシルエットが現れる。長い髪は、後頭部の高い位置で結(ゆ)っているように見える。顔が分からなくてもその奥では、穏やかな表情をしているのが不思議と少女は理解できた。
(さあ、手を)
言われるがままに、女性の手を握(にぎ)る。
この暖かい手――ああ、そうだ。私を『アンタ』と呼ぶ時点で誰だか分かるじゃない。
私を助けてくれるのは貴方なの?
(行こう、一緒に。前へ)
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ