moonlight 改稿版(後編)
ネオの隣にいるみちるが、想いを伝える。
「それで、おばさん。あの、難しいとは思いますが……頼みたいことがあるんです」
「頼みたいこと?」
ネオは覚悟を決めた真剣な表情で実緒の母を見つめる。
「これを実緒に渡したうえで……明日、明日だけでいいです。実緒を、学校に連れてきてくれませんか?」
「え?」
「わたし、実緒の前でこの曲をどうしても歌いたいんです! この歌は、実緒の前で歌ってこそ意味があると思うから……」
「ネオちゃん……」
「だから、お願いします! いつでもいいから、わたしたちのステージが始まる二時頃でもいいです! 実緒を連れてきてください!」
ネオは実緒の母に深々と頭を下げた。それに続けて、
「あ、あたしからも、よろしくお願いします!」
みちるも頭を下げた。
「ちょ、ちょっと二人とも、顔を上げて」
二人の姿勢に、実緒の母は困惑気味(こんわくぎみ)に「うーん」としばらく考え込んだ。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ