moonlight 改稿版(後編)
ネオは、実緒の母にCDケースを差し出す。
「これは?」
「明日、文化祭――総合祭があるんですけど」
「ええ。知っているわ」
「このCDは、明日のステージでわたしたちが歌う曲が入っています。わたしたち、ライブをやるんです」
「まあ……」
実緒の母は、少し口を開ける。
「わたしたち、落ち込んでいる実緒を元気づけたくて……というか、学校で、もっと話をしたり、楽しいことを実緒といっぱいしたいから……。だからせめて、わたしたちだけでも、わたしたちだけは、実緒のことを大切に想っているって、届けたくて……」
「ネオちゃん……ありがとう」
実緒の母は、受け取ったCDを見ながら、
「あの子は幸せ者ね。友達に、こんなに大切に想われているんだから」
と微笑(ほほえ)む。
「はい。実緒は……あたしたちの活動のために、絵を描いてくれてPRをしてくれました。彼女にはとても感謝していますし、あたしにとっても大切な友達です」
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ