moonlight 改稿版(後編)
みちるは額に手を当てて、ネオと健斗のやりとりに呆れる。
ははは! と、ネオは笑い、
「でもそれが、わたしたちらしさ、じゃない?」
「そうっスよ、変に気構えるのって性に合わないっスよ、みっちぃ先輩」
健斗が続ける。
「うん! みんながありのままの気持ちで音と声を届けるのがわたしたちmoment’sだよ」
「……そうですね」
ネオの言葉に賛同する巧。
そんな彼女たちの言い分にみちるはふふっ、と笑みを浮かべ、
「まっ、確かに、こんな個性派ぞろいに、なーにを言っても無駄だわな」
彼女の開き直った発言に、ぷっ! とネオが吹き、ははははは! とメンバーは大笑いした。これがバンドとしての『あるべき姿』なのかもしれない、とネオは思った。
存分に大笑いして落ち着きを取り戻したメンバーは、真剣な目つきで各々の顔を見つめ合う。
「……」
時がとまったような数秒の沈黙が続いたあと、
「あとはこれだね」
ネオはカバンからCDケースを取り出す。この中身には、昨日完成した『あの曲』が入っている。アイツのために歌った曲が。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ