moonlight 改稿版(後編)
話は別なのでは……、と先輩の前で口をこぼす。
「いーや! まずはその真面目な服装をまず変えることが何より大事よ! それに、ロックフェスであれだけ人気者になったんだから、ここでも女子生徒の需要を増やすべきよ! イケメンがもったいないわよ!」
需要って……別にそこまでモテる希望はあまり、と巧は思いつつも、無口な自分への先輩方のご厚意(こうい)なので、
「……わ、わかりました。……ネオさんがそこまで力説する、なら」
顔を赤くしながらしぶしぶ承諾した。
「うん、ばっちりキメてきてよね! タッくんはカッコイイんだから、自信を持ってよ!」
「は、はい……」
ネオは、うんうん、と頷く。それを黙ってみるしかなかった巧に健斗は、
「ネオ先輩に言ったのが間違いだったな、ドンマイ」
と、囁(ささや)く。しかし、
「あらぁー? 健斗、わたしからの、巧への愛ある支援に茶々入れる気?」
「い、いえ。何でもないっス!」
健斗はビシッとネオに向かって自衛隊のような背筋をピンと伸ばし、綺麗な姿勢をとる。
「まったく。あんたたちには緊張のカケラがこれっぽっちもないんだから」
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ