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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight 改稿版(後編)

INDEX|52ページ/104ページ|

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「これで明日はばっちりっスね! これでオレの冴えわたるドラムさばきと美声が、女子たちのハートをがっちりとつかめますね!」
 親指を突き立てて、ニッ! と白い歯を二人に見せる。
 オレはかっこいい! と思っている彼を、
「そして、あんたそのナル男(お)っぷりもねー」
 ネオは呆れた表情で見つめ返す。
 ナル男――健斗はムッとなり、
「な、ナル男じゃねぇっスよ! オレはただ、オレのカッコ良さが明日際立つなと思っただけで」
「だからあたしらにそう呼ばれるんだよ!」
 みちるが横から入ってくる。
「み、みっちぃ先輩まで……。あーもう、わけわかんないぜ」
 「自覚がないのかい!」と先輩二人からツッコミを受けているところを、
「……ふふ」
「あっ、巧! お前、笑ったな!?」
 せっせとベースを直す、巧の背中を健斗は見つめる。
 ホック付きの緑のネクタイをきっちり身に着け、シャツはズボンの中に入れているという、岩国総合生を代表する着こなしをしている。シャツ出し三人とは大違いだ。
「……いや。笑っていない」
「ウソつけ! 聞こえてたんだぞ! お前までオレの敵になるのかよ!?」
「そ、それはないけど、それよりも、片づけなくていいの?」
「あっ、ほんとだ」
 ネオは巧の真上にある、壁に飾られている時計を見上げる。巧の言う通り、八時一五分前を指している。
「無駄話してる時間はないわね。早く片付けるわよ! 特に健斗! あんたのが一番大変なんだから!」
「分かりましたよ。ちぇっ、真面目なヤツなんだから……」
 受け流すのが上手いヤツだなあと思いながら、健斗も片づけ始める。彼のドラムや譜面台は音楽室から借りてきたもので、校舎を完全に締め切られる八時までには返さないといけないのだ。
 四人は急いで片付けを終え、借りてきた機材を持ってすぐにプレハブから出ていった。