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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight 改稿版(後編)

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 思いたくない。思いたくないけど。
 これってやっぱり……。
 頭の中で、ある三文字の言葉が思い浮かぶ。そして、その事件があったのは恐らく――。
 歯にぎゅっと力が入る。ネオはすぐに顔を上げ、
「先生! 竹下さんって、確か美術部でしたよね!?」
「え? ええ、そうだけど……」
「ありがとうございます!」
「麻倉さん!?」
 ネオは全速力で教室を出ていき、すぐ側にある階段を駆(か)け上がっていった。
 廊下で「ネオ!」と呼ぶ、みちるの声も空耳に聞こえるほど、必死に。

 ――そして今、ネオは学生校舎から右にある専門教室校舎へと向かっている。
 美術部に問い詰めるために。
 実緒が『傷つけられていた』という真相を確かめるために。彼女とのやり取りで思い当たる節がそれしかないのだ。
 ネオは思う。
 あの表情はもしかしたら、「助けて!」というサインだったんだ、と。それが本当なら、なぜあのときから気づけなかったのだろう。むしろ、その違和感を夏休みに打ち明けたら良かったんじゃあ……。思えば思うほど、早く行動しない自分がバカに思えた。