moonlight 改稿版(後編)
ネオは顔を俯(うつむ)く。胸が、ドクン、ドクン、と高鳴る。
――なぜ、こんなことになったの? どうして気づかなかったの?
頭の中で言葉がぐるぐると回っていく。『不安』という言葉がぶわっと、身体中に、震えとして表れる。
「……」
「麻倉さん、顔が青いわよ」
先生は心配そうな表情を見せる。
しかしネオは、呆然(ぼうぜん)と立ち竦(すく)んだまま。
「麻倉さん!」
「!」
先生の大声で、ネオは別世界から帰ったかのようにハッとして、我に返る。
「せ、せんせい……」
涙で濡れた双眸(そうぼう)で、先生を見つめる。
「どうしたの? 大丈夫?」
「は、はい……」
ネオは顔を先生に見られないように、再び目を逸らす。
わたしは……彼女の近くに、いたの、に……。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ