moonlight 改稿版(後編)
心の底から、ネオは思った。
そう、わたしには仲間がいたんだ。一人で考える必要なんてないんだ。分からないなら、力を貸してもらえばいい。そうやって、力を合わせれば扉は必ず開いていく。
ネオは、それを実感した。それをもっと早く気づいていたら、とも思った。
でも、これでいい。
実緒にも、この絆という力で、『実緒の背中にはわたしたちがいる』ことを教えることが出来るのだから。
――よし。
ネオはこの想いを、今までの音楽活動の中で、最高の歌詞を書いてやると誓った。
これからの、『わたしたち』のためにも。
「うーん」
時計の針は二十三時三〇分を指そうとしていた。明かりが消えた暗い部屋で、ピンクのパジャマを着たネオが、布団の中で呻っている。
彼女の家は、築三十年の古ぼけた二階建ての木の家で、実緒の家がある場所よりも緩やかな坂の上にできた団地にある。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ