moonlight 改稿版(後編)
「で、でも、助けようって言っても、どうするの……?」
救いの手が欲しいと思わせるような相貌(そうぼう)で、ネオは彼女を見つめ返す。
「確かに……奇麗事(きれいごと)ばかり言っても彼女に届くことはまずないだろうね。だけど、あたしたちには、あたしたちにしかない唯一の、とっておきの武器があるじゃないか!」
「えっ?」
「あたしたちは何の活動をしているの?」
「バ、バンド」
「そう。だから?」
「う、歌!?」
「正解!」
みちるは大きく頷く。
「そう。ネオが大好きな、歌。これしかないよ。あたしたちは、『前進』というコンセプトのもと、みんなの背中を音で後押しして、みんなで前に進むんだろ? だったら、こっち側に引っ張り出すことだってできるだろ?」
「!」
そうだ。そうだよ……。
ネオは思わず口に手を当てる。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ