moonlight 改稿版(後編)
「……美術部の部長から聞いたよ」
みちるが破いた。
「同じクラスにそんなヤツがいるとは思わなかったよ。あいつ、普段はクラスメイトに好かれているってのに、裏ではそんなバカなことをやっていたなんてね。……ホント、高校生になっても『正しい』と『悪い』の区別もつかない自己中ががいたとはね。ホンッと、学校じゃなかったら、空手でボッコボコにシメてやりたかったよ!」
みちるもネオと同じ気持ちだった。悔しさと憎悪(ぞうお)で飲み干した缶コーヒーをへこませる。
彼女も同じ気持ちをもっていることに、ネオは少し安心した。
「実緒は、向井のせいで深い傷を負ってしまった。わたしの手をつかめないほどズタズタにされて……」
くやしいよ、とネオは項垂(うなだ)れてしまう。
「あんな奴のせいで、あいつと一緒にされて、親友としての時間を、簡単に無かったことにされるなんて……!」
「ネオ……」
再びネオの瞳から涙が頬(ほお)を伝っていく。滲み出る彼女の悔しさに、みちるもどうしようもない気持ちでいっぱいになる。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ