moonlight 改稿版(後編)
その中で、
ダン!!
ネオが足で床を強く叩きつけた。
「な、なんだよ……ボ、ボクの何がいけないのさ」
怒りをむき出しにしたネオに、向井は怖気づく。
「あんたみたいなヤツが……」
「え?」
「あんたみたいなヤツがいるから、努力を否定する大馬鹿者がいるから、夢への、未来への『自分の可能性』を失う人がいるのよ!!」
ネオの拳に、両腕を震わせるほどの力が入っていく。
「ボクに逆らう? 怒りを通り越して、アンタの人間性に呆れるわよ。分からないの!? あんたが天才だからってね、努力し続けたものの方が、圧倒的に有利で、優れているってことが! 創作する全ての者はね、みんなみんな辛い道を通って、努力して、一歩ずつ前へと歩いているんだよ! わたしだって、去年は色々と迷惑をかけて、辛い思いだってしたわ! でもね、その過程があるからこそ今のわたしがある。それだけは否定できないわ! それは実緒だって同じよ! 努力したからすごい賞が取れた! 何物にも代えがたい価値を、あんたは壊したのよ! 誰にも否定できない『証』を! 存在を! 人の気持ちを傷つけてまで、美術を語るアンタなんか、アンタなんか……」
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ