moonlight 改稿版(後編)
アハハハハハ! と向井は高らかに嘲笑(ちょうしょう)した。
その卑劣(ひれつ)で傲慢(ごうまん)な態度に部員たちは、他人事(ひとごと)のように見つめていた。向井に逆らうことのできない奴隷みたいだ。
『部員にバカにされる』という実緒の言葉が、ネオの脳裏(のうり)に浮かぶ。
「だからボクは、竹下さんを追い詰めていないのさ! あいつは、ボクの居場所を壊そうとした報(むく)いを受けたのさ!」
向井は俯(うつむ)いているネオの顔を覗(のぞ)く。
「これで分かっただろう。このボクに逆らうとどうなることが! 悪いことは言わないよ、麻倉さん。キミも素直に……、」
「ははは、何よ、それ?」
うん? と首をかしげる向井に、ネオは怒りのこもった声色(こわいろ)で、
「この根性なしのゴミクズ野郎が!!」
その瞬間、美術室が無音(むおん)と化した。
誰も喋ることができない。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ