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エイユウの話~終章~

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「タッパ・・・?」
 それを聞いたノーマンの顔が、苦々しげに歪んだ。まるで、何かを後悔するように。
 代わってギールが資料を受け取り、説明を続ける。
「さらに、ゴパスの名前には、ジャームの言葉の響きを含んだ読み方が使われる」
「その読み方とは?」
「居住区境の村で使われる、メガード読みです」
「メガード・・・」
 あまり聞かない言葉だけに、今回は導師も頭を悩ませた。
「『キートワース・ケルティア』は、紛うことなきハイル読みです」
「どうしてそう言い切れる?」
 自分のミスがばれたくないということと、やはり疑わしい気持ちが取れないためだろう。導師が確認を取る。その感情が気に食わなかったようだ。ノーマンは導師を睨みつけた。入学前にキサカが彼と縁があったと聞いたが、キサカのあの態度は彼のせいではないだろうか?
「『ケアウォルス・セルティ』。合っているのかどうかは知らないが、ハイル以外で読むと、こういう感じにはなる」
 確かに全く違う。そこで、導師は標的を変える。
「ならば、明の達人はどうだ?」
 二人の先輩の表情が硬くなった。確かに髪色の話だけでは難しかろう。しかし、また名前を読めばいい。
 しかし、そこでラジィはふと思った。キサカのスペルが解らない。いや、覚えられなかったのだ。名前なら模擬試験で見たことがあるはずなのである。しかし、一文字も出て来ない。先頭がCやKでなかったのは覚えているのだが。
「キサカ君のスペルって・・・」
 同じことを思ったらしいアウリーが尋ねると、ノーマンは視線を逸らした。さっきまでの威勢の良さが嘘のようだ。代わってギールが絞り出すように答えた。
作品名:エイユウの話~終章~ 作家名:神田 諷