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エイユウの話~終章~

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「会話は聞いてたよ。でもあれじゃ、魔禍の疑いは晴れてない」
 どういう意味だろうと、ラジィが考える。いち早く意味に気付いたアウリーが、父親を見た。彼は娘が視界に入らないように、視線を逸らす。解らないラジィの様子に、ギールが初めて口を開いた。
「ゴパスが一人しかいないとは言い切れないからな」
 つまり、キサカも捕えて、キースも捕えたまま、という事態になるところだったのだ。それは女性陣としては最悪の事態であり、どっちかという思い込みにとらわれていたことに気付いた。
 ギールの補足が終わったころに、ノーマンが自分用の資料を取り出した。
「まず、ゴパスの髪色は金色とは限らない」
 限らない、という表現が気になるが、キースをゴパスだと決めつけていた要素は揺らいだ。ノーマンは自分の髪の毛を持つと、見せつけるように振って見せた。偏見のない者にしてみれば、輝くそれは美しい髪色だ。
「とはいえ、確かに金髪が多いというのも否めない。しかし」
 取り出した資料を見せる。距離があるので、正直に言えば、何と書いてあるのか解らない。が、それを言う勇気はなく、二人は目を凝らした。
「見ての通り、ゴパスと分けているのはアルディだけだ。いや、ゴパスという言葉自体がアルディの言葉だという方が正しいか」
 見ての通りがなんなのか解らない。ラジィが恐る恐る告げると、ノーマンとギールが顔を合わせた。ギールはため息をついているので、察しがついていたのだろう。二人はラジィ達の方に来て、その資料を見せた。
 資料には様々なことが書いてあったが、先ほどノーマンの言っていたところにはマーカーが引いてあった。その前後を読むとこうである。
 第一の認識として、ゴパスはアルディとジャームの混血である。そのため多少なりとも魔力を持っていることが多く、金髪でも魔法が使える。しかしジャーム達は、さらに二つ分けていた。それが、金髪のゴパスと、それ以外の髪色のゴパスという区別だ。
 金髪のゴパスは、ジャームの血の濃いゴパスである。それゆえ彼らの魔力は、魔術学院に入学できるほどもないという。もともとアルディよりジャームの方が血統が濃いため、混血はこちらが多くなる。彼らの事をジャームの言葉では「ロイア」と呼ぶそうだ。
 そして今回発覚したのが、それ以外の髪色のゴパスである。彼らの場合はアルディの血の方が濃く出た珍しいタイプで、数もごく少数だという。しかも彼らの魔力は、なぜかアルディの平均値よりもずっと高い魔力を持っていることが多いというのだ。そして、彼らの事をジャームの言葉で・・・。
作品名:エイユウの話~終章~ 作家名:神田 諷