エイユウの話~終章~
それから保健室に運ばれたのだろう。誰が運んでくれたのか解らないが、そこからアウリーの心配が始まったと推察される。
「流の導師様は?」
「それが・・・」
アウリーが答えにくそうにしているので、キースはベッドから降りてカーテンを開けた。そこで保険医を見つける。あれこれしているうちに、ここに到着したようだ。
ベッドの横に呆然と立ち尽くす彼女は、キースが目覚めたことに気付いていないようだった。
彼女に声をかけようとしたとき、キースの視界にも、彼女の見ている者が見えた。
流の導師が、ベッドの上に横たわっていたのである。
「流の導師ッ!」
駆けよって見てみれば、彼は眠っているかのように亡くなっていた。かぶせられていた布団をまくってみるが、外傷はない。病気を持っていたとも聞かない。
キースが答えに行き着く前に、保険医がキースの剥がした布団を戻しながら教えてくれた。
「魔力の使いすぎよ。死ぬほど魔力を使い果たしたの」
魔力を使い果たすと人が死ぬ。キースは初めてその事実を知った。そして、彼はキースとの約束を守るために、その魔力を使ったのだ。
キースは涙をこらえながら、勢いよく頭を下げた。何の言葉も出ない。嗚咽すら、今の彼には出せなかった。
そのまま身を翻し、保健室の扉を開けた。急な行動に、アウリーが驚く。
作品名:エイユウの話~終章~ 作家名:神田 諷