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エイユウの話~終章~

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 何も起こらなかったことにほっとしながら、導師たちに「くだらない」と悪態をついた。彼は空になった皿を見る。「魔物の肉」と脅されたわりに、「本当にこれが?」というほど普通の肉だった。もう何の変化もないし、導師が牛肉を間違えて出したのではないかと思うくらいだ。実際キースは本気でそう疑っている。
 騒いでいた中から、代表して明の導師が進んできた。
「魔禍の、本当に、ほんっとうに何もないの?」
「何があるのが正解なのか・・・」
 確かにそんなのは誰も解らない。資料など何もないのだから。しかし、今までだんまりを決め込んでいた地の導師が、淡々と諳んじる。
「獣の耳または尾を持つ、獣の魔力に染まる、魔獣の目に変わる、激しい吐き気が出る、ひどく苦しむ、体に激痛が走る。そのくらいだろうな」
 他の導師も把握していなかったことだが、どこで調べたのか。最高導師の彼女は、ほかの導師たちが調べられない者も管理しているのだろう。そこに書いてあったのかもしれない。
「それは何も・・・」
 言いかけたところで、頭痛がした。ツンと突くようなものから、いきなり金づちで殴られるような痛みが走る。彼は声も出せずに、のたうちまわった。吐きだそうとして、胃が変なように動いている気がする。それもまた気持ち悪い。
「どうした?魔禍の、どうした!」
 そう慌てた導師の声を聞きながら、キースは気を失った。
作品名:エイユウの話~終章~ 作家名:神田 諷