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和尚さんの法話 「霊夢と信仰」

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息を吹き返したお祖父さんは、和尚さんにその話をするわけです。
極楽は間違いなくある。 お経に書いてあるとうりだと。


三、
善導大師の夢の記録になります。
この方は、浄土三部経の中で観無量寿経を中心にして信心を得とくなさったお方です。
法然上人もその善導大師に遵って、観経に遵って、浄土門を開かれた。
観無量寿経の解釈した観経書というのに書いてある文句ですが、自分で告白してるわけです。
この善導大師が中国で実質的な浄土門を獲得なさったわけなんですね。
全集があり、真言宗もあり、いろんな宗派が中国には既にあったわけなんですね。
その中でも浄土門というのに位置づけていく。


何で私は観無量寿経によって信心を説くのかというそのいわれですね。
この観無量寿経の解釈を書くけれども、このお経にある文句はこうであると判断していくわけなんです。
ところが自分はこれが正しいと思うけれども、はたして仏様からみてどうかな、という疑いが起こる。
間違いではないと思うけどれ、自分は仏様じゃないからね。
それが間違いが無いというお告げがもらえたら大安心ですね。
ですから極楽の様子を夢で見せてもらいたいと念じて祈るんです。
日夜に一心に祈ると。
ですが、既にその晩に夢に見た。
西方の空中にこういうふうな極楽の姿を見せていただきたいと願った、そのとうりの夢を見た。
つまり、おまえの書いたことはこれで間違いが無いと。
お経にあるように雑色の並木があり、金銀瑠璃、玻黎、赤珠碼碯などのいろんな色が出てきますね。
そういうふうないろんな色の世界があり、光が照らされると、地面が金色になる。
その中に諸仏、菩薩があって、座っている方も、立っておられる方も居れば、話をしておられる方もいる。
今まで座っていた諸菩薩方が立って合掌して、そのお姿をありありと見せて下さいました。
そういう夢を見て、目が覚めて歓喜した。
ああ、私の書いたことが間違いがなかったんだと。
仏様のお心に叶っているんだと。
そういうお姿を見せていただいたんだということに歓喜したのです。
これより以後、毎夜、夢に一人の僧が出てきて、ここはこうだと、ここはこうしなさいと言うて教えてくれるのです。
だから一字一句、加減したり改竄をしないようにということです。

仏教に関する本がたくさん出ていますが、その中でも般若心経の解説をした本がひじょうに多いですね。
そのかなで、疑問に思うのですが、色というのが出てきます。
この色という説明を必ず、物質という説明をしてるんですね。
人間でいえば肉体。
物でいえば物質。
物も肉体も、色という名ではいえるんですけれども、もうひとつ違う色があるんだということです。
般若心経の色は、この物質じゃなくて、もうひとつの色なんです。
どうしてそれを解説しないのか。

無表色といって、物質では表せない色がお経に出てくるんです。
これはもう自分が体験をしなければ、無表色とはこれですよと、人に説明をすることが出来ない。
その人自身が体験をしなければ分からないという色、だから表現が出来ないということです。
心経の色はこうだろうな、空の意味はこれだろうなと思ったわけです。
他にも疑問がたくさんあるんです。それで自分の考えは正しいのだろうか。
それとも現在の仏教一般の考えの方が正しいのだろうかと。疑問があるので、どうぞ夢で判定をして頂きたいと、お地蔵さんにお願いをした。
こういう和尚さんのお話です。

すると、その晩に観音様が夢に現れたそうです。
お地蔵様にお願いをしたのに、観音様が現れた。
そして如意宝珠という玉がありますね、あの玉を和尚さんが戴いたそうです。
これは、和尚さんの方が正しいと、そういう意味です。
ですから本気で仏教を信仰していると、必ずそういう疑問があるんですね。

お地蔵様の話しが出ましたので、和尚さんの寺にありますお地蔵様のお話をします。
光孝天皇が時康親王と呼ばれていた頃、御眼を患った。
それで賀茂の明神に祈った。
そうしますと、夢のお告げで、地蔵菩薩を一体刻んで信仰しなさいというお告げでした。
それで比叡山の慈覚大師に造立させたといわれます。
そして信仰をしてたら眼が治った。
それで和尚さんの寺にあるお地蔵さんは明限地蔵といいます。
天皇はそのお地蔵様を本尊として寺を建立したいと思っていましたが、念願が果たされず、次の天皇に遺言を残した。
そしてこの地蔵菩薩を本尊とした寺が建立されたわけです。

この慈覚大師は比叡山の天台宗の方ですけれども、天台には密教というのもありますよね。

その中に大日教宗という中国から伝わってきたのがあって、それを仏教に関係のある人は皆読んでるわけです。
然し、これだけでは難しいというので慈覚大師はもっと分かり易くしたものを書いたんです。
ところが、これは自分は正しいと思うのだけど、これを後世に残して若し、間違っていたら人を迷わすことになる。
これは一遍、仏様にお願いして聞いてみないといかんと。
そうして祈った仏様は、大日如来様だった何方だったか忘れましたが、祈った。
どうぞ夢でお知らせ戴きたいと祈ったんです。
ある晩に夢で、太陽がかんかんと照る太陽が山の真ん中にいてる。大日ですね。
それでこれはやっぱり間違いが無かったんだ、これで良かったんだと思って感激したんですね。
そういうことがいろいろと伝記に出てきますね。

天竜寺を開いた夢窓国師という方がありますね。
あの方ははじめは禅はやってなかった。
いつも宗派の勉強をされてたそうです。
そうしましたら或る晩に夢を見まして、中国へ行ってる夢なんですね。
寺には何々山という山の名前が付いてますね。
華頂山、知恩院とか、比叡山、延暦寺というようにね。
その中国の山にある寺へ参る夢を見たそうです。
すると、その夢の中に坊さんが一人現れて、これをおまえにやろうと言うて巻物を貰うんです。
そしてその巻物を開いてみると、達磨さんの絵が出てきたんです。
それで、その夢を見て、自分は禅宗に縁があるんだなと思ったわけです。
今まで自分はいろいろ勉強してたけど、禅宗に縁があるんだということを悟って、それから禅宗を信仰するようになった。
こちらから夢でお告げをと、願ったわけではないが、あちらさんからお導きがあるんですね。

夢見地蔵というお地蔵さんがあるんですが、
和尚さんは、そのお地蔵さんが夢に出てきたから夢見地蔵というのかなあと思ってたそうです。
ある人が和尚さんの寺に生活に困って、間借りをしていた人がいまして、その人がある日、夢を見たそうなんです。

「和尚さん、お地蔵さんの夢を見ました」 と言ってきた。
「夢でお地蔵さんが、夢で聞け、夢で聞けと言ってた」 と。
それを聞いて、和尚さんは、あんたは困ってるんだから、どうしたらいいのかどうぞ夢でお告げを下さいと、あそこの夢見地蔵さんへ行って祈ってきなさい。
それで、その人はそうしたわけです。
そしたら夢というのは、和尚さんの寺の門前で夜店を出してるというんです。
それを聞いて和尚さんは、夜店を出すような寺ではないのになあと。
ちょっと変わった夢を見たものだなあと。