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きらめき

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 那覇空港を16時50分に飛び立ったMRJ90ER42便は、85席がほぼ埋まっていた。遊び疲れたほとんどの人々は、伊丹空港到着まで眠っていようと、シートにもたれ静かに目を閉じている。
 だがその時コックピットでは、電子機器との必死の格闘をしていたのである。
 離陸してから高度12000メートルで安定姿勢に入り、自動操縦に切り替えた直後、機体は大きくカーブを描いたかと思うと、太平洋上を東へと進んだ。それに気付いた機長は、航路を戻そうと必死の形相になって操縦桿を操っているのだが思うに任せないうえに、副機長がとる管制塔とのいかなる通信も、遮断されてしまっていた。
 それでも飛行機は、安定した姿勢で飛び続けていた。



 防衛省に脅迫メールが届いたのは、MRJ90ER42便が離陸した直後であった。


「なんだって! 飛行機がここに突入してくるって! 冗談でしょっ!」
「いや、上の部屋(防衛省)の知り合いに用事があって尋ねて行った時にちょうど、そこの広報室にメールが入ったんだ。今は大騒ぎをしている最中だ。メールの内容を聞き出そうとしたんだが、相手にもされなかったよ。すぐに追い出された」
 それだけを伝えると古川主幹は腕組みをして窓辺に立ち、空を見上げて大きく息をついた。


「たしかぁ、MRJは国産の小型旅客機スよね、このビルに激突したとしても、大した被害にはならないと思いまっス。両方とも、強靭に設計されてますから」
「何言ってるんだよ、乗客は全員死んじゃうんだよ。確認したところ、ほぼ満席だそうだ」
「はあ、そうっすね。気の毒に」
「キャップ、米沢、最近・・・なんてゆうか・・・少し変だと思いませんか?」
「ん? そういうことは、後だ」
 一瞬何かを考えたようだが、古川は気を取り直して指示を出した。
「おそらく他の通信社には、情報はまだ行っていないと思う。中林、君は上に張り付いていてくれ。脅迫文の詳細を何としても知りたい。それに対して、どういう動きを取っているか、をだ」
「分かりました! 食らいつきますから、まかせといてください」
 中林はそのまま部屋を後にし、上階に急いだ。

作品名:きらめき 作家名:健忘真実