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きらめき

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「今、AI(人工知能)ジェット救助機の発射準備が整ったところだ」
「それで飛行機を救うことは、出来るのですか?」
「ああ、レーダーで当該機をキャッチすることが出来た。AIジェット救助機は、長さ1メートルにすぎないが、強力推進力を有している。7機を当該機に密着させ、空軍基地に強制着陸をさせる。ただ」
「ただ?」
「上層部は反対している・・・セキュリティを教える様なもんなんだ。奴らの狙いは、セキュリティIDを入手することだと、考えられる」
「乗客を見殺しにする、ということですか?」
「ま、それも無理だ。このビルは、飛行機突入による衝撃に耐えるだけの強度はあるが、実際に衝突されたら、乗客全員即死となる。そうすると、国民の非難を避けることはできないだろうからね」


 中林は、オフィスに戻り古川主幹に報告を終えると、そのニュースを配信した。
 空軍基地を発射した7機のAIジェット救助機は、レーダーが捉えているパルスを受信しながらMRJ90ER42便を目指した。小笠原付近で機体を捉えると尾翼側に回り込み、速度を合わせて機体の下部に3機、主翼に1機ずつと機体上部に2機が張りつき、旅客機以上の推進力を発揮して航路を変更誘導した。
 政府は、MRJ90ER42便のコンピューターシステムがサイバー攻撃を受けたことを公表したが、犯人側からの脅迫文についてはしばらく秘すことにして、救助のために最大の努力を果たしていることを強調した。
 国民は、その成否を固唾をのんで注視している。
 

 まもなく、テレビカメラが高度を下げつつ近づいて来た機体を捉え、その成り行きを一部始終放映し続けた。
 機体下部に張り付いていたAIジェット救助機3機が順次離れて行くと、旅客機は再び上昇し始めた。旅客機の車輪を出せないことを確認すると、一旦離れたAIジェット救助機3機は旅客機の尾翼側に回り込んで、再び張り付いていった。
 そのまま旅客機の燃料が無くなるまで、飛び続けた。
 着陸寸前で、誘導し張り付いていたAIジェット救助機3機が小さい車輪を突き出すと、旅客機は滑走路を滑るようにして走る。残る4機のAIジェット救助機が制動とバランスを保たせて、機体は静かに停止することが出来た。
 成り行きを見守っていた人々の間からは、涙やため息と共に、静かな拍手がわき起こっていった。

作品名:きらめき 作家名:健忘真実