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シナリオ『CUBE』第2幕「インサイド」

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   幽霊1のしゃべりにあわせて、女生徒が動く。それに対して、教師は語りかける。

教師  柿本、君は最近いじめにあってないか?
幽霊1 ・・・。
教師  言いにくいことかもしれないけど、なにか僕にも手伝えることがあるかもしれな い。言ってみて?
幽霊1 靴を・・・
教師  靴を?
幽霊1 靴を、便器の中に入れられてました。・・・
教師  ・・・他には?
幽霊1 ・・・机には毎日のように「ブス」だの、「ゴミ」だの「死ね」だの毎日そう書かれてます。教科書とかも何回もなくなって、あとは、机に花瓶を置かれているときもありました、それから・・・。
教師  わかった。もういい。
幽霊1 ・・・私は悪くないんです。ただどうしていいかわからないんです。だって、悪くないのに、いじめられてるんです。
教師  大丈夫。みんなただちょっと嫉妬してるだけさ。君はとても頭がいいだろ? だから君の欠点をあげつらって、必死に馬鹿にしようとしてるだけ。だから、自分に自信を持ちな。そしたら、いじめなんてすぐになくなる。大丈夫。僕は君の味方だよ・・・。
幽霊1 そんな簡単にいじめなんかなくなりませんよ。それこそいじめてるほうにしたら、私なんか必要のないゴミみたいに思ってるでしょうから。先生だってそんな風に思ってるんでしょ?
教師  そんなことない!僕は君のことが好きで心配だからこういうことを言うんだ。絶対そんな風に思わない。
幽霊1 ・・・信じていいんですか?
教師  ああ。信じていいよ・・・信じて・・・
幽霊1 信じる。信じるから。だから、私を好きでいて・・・。お願い・・・。

    女生徒、教師の抱擁から抜け出して、またもとの定位置に戻る。照明変化して、もとの場面に戻る。

教師  ま、過去の話はいいだろう。相談ってのはなんだい?
女生徒 ああ、そうでした、そうでした。忘れるところでした!
教師  おいおい、頼むよ!
女生徒 あ、でも、これ聴いていいのかな。
教師  いいよ、どんどん聞いて。
女生徒 でも、先生こんなこといって私のこと見捨てるかも。
教師  大丈夫さ、俺はお前の話どんなものでも受けいれるよ。
女生徒 ホント?
教師  ああ、ホントさ、俺を信じろ!

   幽霊2の方にスポットが当たり、照明が変化する。

幽霊2 本当にさ、「俺を信じろ」なんて信じちゃいけなかったんだ。信じて裏切られてそしたら、あたしたちはどこに行けばいい?どこにいればいい?この気持ちの行き場所をどこに定めたらいいの?本当、馬鹿みたい・・・。

ストップモーション。女生徒立ち上がりソファの影へ、その代わり幽霊2が入ってきて、女生徒のいた所に座る。

教師  なあ、木ノ本、お前最近顔色悪いぞ。どうしたんだ?
幽霊2 別に? どうもしないよ。ちょっと体調悪いだけ。
教師  本当か?
幽霊2 本当だよ、先生。別に心配することないよ。
教師  うわさを聞いたんだ・・・。
幽霊2 なんの?
教師  お前が、援助交際をしてるっていうな・・・。
幽霊2 ・・・だから?
教師  だからって、お前・・・。
幽霊2 だから、なに? 退学にでもする?
教師  ・・・俺はお前を助けたいんだ。
幽霊2 はあ? なにいってんの?あんたがあたしを助ける?無理に決まってるでしょそんなの。教師風情がなんでもできるっておもわないでよ。
教師  ・・・俺がおまえののそばにいる。
幽霊2 ・・・は?
教師  ・・・寂しかったんだろ? エンコーなんざ、人肌恋しくなきゃやらないよ。
幽霊2 なに、わかったようにいってんの?あたしは別に寂しくなんか。
教師  じゃあ、なんでそんなことやってるんだ?
幽霊2 ・・・それは。
教師  お前の家庭環境も聞いた・・・お前、家の中に、居場所あるか?
幽霊2 ・・・。
教師  ・・・なあ、木之本。居場所がないなら、俺がおまえの居場所になってやる。お前のそばにいてやる。
幽霊2 ・・・ホントに?
教師  ああ、ホントさ。おまえの事を一生見守ってやる。ずっとずっと一緒だ。
幽霊2 ホントにいいの?あたしすんごい汚れてるんだよ?
教師  それでも、俺はお前と一緒にいたいんだ・・・。
幽霊2 ・・・信じるよ。先生・・・。裏切ったら承知しないから。
教師  ああ・・・。信じろ。
幽霊2 私の生きがいにするよ・・・。先生。だから先生私をずっとそばに置いて・・・お願い。

    照明変化してもとの女生徒に戻る。

女生徒 うーん。じゃあ信じちゃいます。裏切らないでくださいね。
教師  おう。任せとけ。
女生徒 ではですね・・・キノモトマドカの行方って、ご存知ですか?
教師  え?
女生徒 だから、キノモトマドカですよ。先生の2年前の教え子の。ほら、あのカキモトユミさん?って人と一緒に行方不明になった。
教師  なんで君がキノモトさんを知っているんだい?
女生徒 今それは別にどうでもいいですよ。それより、行方知りませんか?
教師  知らないよ。僕もあの時は必死に探したけど見つからなかったんだ。知るはずがない。
女生徒 まあ、そう言いますよね。
教師  何が言いたいんだ。
女生徒 いやあ、分かってるくせに、このこの。
教師  だから、何が言いたいんだ! 大人をからかうのもいい加減にしろ!
女生徒 お姉ちゃん、殺したのあんたでしょ。
教師  え?
女生徒 苦労したんですよ。いろいろつてを辿って探しても見つからなくて、たぶん死んでるだろうなとは思ってたんですけどね。
教師  なにを・・・。
女生徒 で、辿っていったら、行方不明になった日、あなたの家にいってることがわかってね。それで、怪しいとおもって、あなたの勤める学校に入学したんですよ。
教師  だって、苗字が。
女生徒 ああ、うち両親が離婚したんで、違うんですよ。苗字。お姉ちゃんは母親に、預けられて、私は父親に親権がいったんですよね。それで。
教師  そんな、そんなこと。
女生徒 まあ、話戻しますと、まあ、尻尾出さないんで、ちょこっと家行ってみようかなあなんて。まあ、それでも埒明かないし。単刀直入に聞いちゃいますね。先生うちのお姉ちゃん。殺してませんか?
教師  ・・・おい。(壁に向かって)
女生徒 ・・・あれ?
教師  どういうことだ! 何で言わないんだお前らしってただろ! なんで、なんで教えなかった。答えろ。なんでだ!
女生徒 ・・・あらら、ちょっと頭のねじ2,3本はずしちゃったかな?
教師  ちがう! 違うんだ。あれは、あれは俺がやったんじゃない。あれは事故だったんだ。
女生徒 ・・・事故?
 
    幽霊たちナイフを取り出す。そして、箱の正う面に出てお互いに刃をむける。

教師  そうさ! あいつら馬鹿だから、俺がすこし優しくしたらすぐ勘違いして! 俺にナイフもって二人して迫ってきやがったんだ!
幽霊1 ねえ。先生。私のこと愛してるっていったよね?
幽霊2 ずっと一緒にいてくれるっていったよね・
教師  けれど、俺が「おれは教師だからどちらも選べない」といったら、二人して襲ってきやがったんだ! 本当にはた迷惑なことに、この家でな!
幽霊1 一番好きだっていってくれたよね?