シナリオ『CUBE』第2幕「インサイド」
幽霊2 居場所になるっていったよね?
教師 だから、俺は仕方なかったんだ、抵抗して、そしたら、あいつらの腹にナイフが、だから、
幽霊1 愛さない先生なんかいらない。
幽霊2 居場所じゃない先生なんかいらない。
教師 だから、あいつらを壁に埋めちまう以外他になかったんだよ!
幽霊たち だって、意味、ないから
幽霊たちそれぞれにナイフを差しあう。そして、その場に倒れ伏す。
教師 これでも、俺が悪いのか。俺はただあいつらを思って、教師をやってただけなのに、あいつらが勘違いして襲ってきただけなのに!
女生徒 うーん、まあ、自業自得かな?
教師 ・・・え?
女生徒 だってさ、先生結構裏であくどい事やってるでしょ?女の子相手に。そういうのさ、ボロボロ出てきたから。
教師 ・・・。
女生徒 それにさ、あんたが殺したおかげでこっちが迷惑してんのよ。
教師 ・・・え?
女生徒 毎晩毎晩さ、泣きながら私犯すんだよ。親父がさ。「まどか、まどか」っていってさ。私はまどかじゃないのにさ。あんたがまどか殺したおかげでさ、こんなことなっちゃったんだよ。
教師 違う。
女生徒 ホントさ、もう代用品になるのはうんざりなんだ。
教師 違う、それは俺のせいじゃない!
女生徒 責任とってよね。
教師ソファのかげに押し倒される。女生徒ナイフを取り出しめった差しにする。
女生徒 はあ・・・はあ・・・はは・・・ははははは・・・はははははははははははははははははははあっははあはは!!!
女生徒笑いながら扉の外に出て行く。そして遠くの方でパトカーのサイレンがなる。
教師 (ソファの影から)なあ。何で教えなかったんだ。俺を愛してなかったのか。なあ、おい。
ソファからずりずりと顔を上げる。すると幽霊たちゆっくりと立ち上がり、男の元へ行く。
幽霊1 いいえ、愛していました。
幽霊2 たぶん、誰よりもね。
教師 じゃあ、なんで、なんで教えなかったんだよ。マドカ、ユミ。
幽霊1 だって、知らなかったんです。
幽霊2 うん、全然知らなかったから。
教師 え・・・?
幽霊1 先生自分で言ってたじゃないですか。
幽霊2 「こんな現実ありえないって。」
幽霊1 その通りですよ。
幽霊2 こんな現実ありえない。幽霊なんていやしない。
幽霊1 あるのはただ、自分の妄想だけよ。この世界にあるのは。
幽霊2 私たちは結局、あなた。
幽霊1 あなたが作ったあなたを愛する幻。
幽霊2 幽霊なんてそんな便利な存在。
幽霊1 この現実にいやしないから・・・。
幽霊たちは静かに教師を見下ろす。
教師 ああ、そうか・・・。そうだよなあ。はは、僕は結局誰にもあいされやしなかったのか。はは、はははははは・・・。あーあ、愛されたかったなあ・・・。
幽霊たち教師をゆっくりと抱きしめる。
暗転
終わり
作品名:シナリオ『CUBE』第2幕「インサイド」 作家名:katariya