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和尚さんの法話 「仏教と占い」

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そういうことが多々あったそうで、或る時に時宗が貴方様はどうして先の事、先の事が分かるのですかと、聞くわけです。
そしたら三年たったら貴方自身分かりますと、こう応えたんですね。
そして三年たったら時宗は死んだ。
これはあの世へ行ったらそういうことが分かりますよということですね。

それからもうひとつは、清水の次郎長ですが、米屋の息子だったとき、或る坊さんが托鉢に来たんですね。
その坊さんに、あんたは短命だと、あと七年の命だと言われたんです。
それはまあヤクザの道に入った、太く短くということで一つの理由にもなっているらしいのですが、ところが七年たっても死ななかった。
それであの坊さんのおかげで人生を踏み外したと思っていたんですね。
それがその坊さんにぱったりと出会った。
おまえは昔わしに、こう言ったではないか。
あれから何年たってるかと。
すると坊さんは、あんたはその間に人を助けてはいないかと。
人を助けるようなことがあったら、死ぬような命も延びることがあるんだと。

あのとき一言いうのを忘れたが、人を助けたら命は延びることがあると。
その間に人を助けてるんですね。
それが命を延ばすことになったという話しがあるのです。
が、なぜ先にその話しをしなかったのかと思いますね。
先にその話しをしていたら次郎長はヤクザにならなかったかもしれない。
もっと人を助けたかもしれない。
善い事をしなさい悪いことをしたいかんと。
昔の坊さんは、多かれ少なかれそういうふうに人を教化していくということをしたようですね。
一般の商売で占いをする人は別として、和尚さんのように人を教化していくような占いはいいんだと、正しいんですよと、お地蔵さんもちゃんとこのお経にあるように認めて下さっているわけです。

だからオカルトと言って否定するようなものではないと。
じっさいにそういうことはあるんだと、ただ科学でそれを証明できないだけだということです。
此のお経は地蔵経ですが、他の仏様方はこういうことを出来ないのか、というとそんなことはないと思います。

お釈迦様がお亡くなりになるとき、次にお釈迦様の弟子の弥勒菩薩が仏としてこの世に出られる五十六億七千万年後まで、地蔵菩薩にこの世を頼むと言ったんですが、何時の仏様も何時の仏様もそういうふうにお地蔵さんに任せてきてるんです。
お釈迦様がこの世に出られる前の如来様も、これから何劫たったら釈迦牟尼仏という仏がこの世に出る、その間の衆生は地蔵菩薩に頼むと。
いつもお地蔵さんというのはそういう役をずーっと、仰せつかっている方で、仏さんと仏さんとの末法の仏の役をなさっている方なんです。

この五十六億七千万年というとてつもなく長い時間ですが、仏教では劫という時間が出てきます。
劫というのは無間という時間ですから、我々の時間からいうと長いですけど、仏教からいうと短い。
ですからこの地球ではなくて次の地球かもしれないですね。
そのときの人間の寿命は八万歳だそうです。

和尚さんの寺の近くに夢見地蔵というお地蔵さんがあるのですが、そのお地蔵さんは、困ったときに、私はどうしたらよろしいでしょうか、夢でお告げを下さいとお願いしたら夢で告げて下さるお地蔵さんなんです。
これも占いですよね、このお地蔵さんの。
こうしたらいいぞ、と教えてくれるんですね。
占いというよりは超能力でちゃんと教えてくれるのです。神通でね。

前にもお話ししたかと思うのですが、或る奥さんが和尚さんに相談をしに来て、夫婦別れをしたいと、もう別れようと思うのですがどうですか、ということできたんですね。
それで和尚さんは八卦を建てたら別れないほうがいいという卦が出たんです。
ところがこの奥さんは、もう今晩にでも家を出るつもりで最後の決着をつけにきたわけです。
ところが卦は家を出たらいかんという卦が出たものですから、迷うてきてぐちぐちといろんなことを言いだしてきたんですね。

それで、何処に住んでいるのかと聞くと、二条の近くの長屋に住んでいるとのこと。
若し、貴女が出るのはいつでも出られるでしょう、が、然し帰ってこようとしたらちょっと敷居が高いですよと。
今すぐに出るのを止めて、一週間待ちなさい。
そしてその一週間、夢見地蔵というお地蔵さんがあるのを知っているでしょ。
知っていますとのことで、知っているならそのお地蔵さんへ一週間、毎晩行って、門は閉まってるけど外から、私は家を出ようと思うてるけど出たほうがいいか、出ないほうがいいか、夢で知らせて下さいと、こういってお願いしなさいと。その日はそれで帰ったんですね。

それからしばらく来なくて、どうしたかなと和尚さんが思っていたら、道でばったり出会った。
あれからどうしましたと聞くと、和尚さんのいうとうり、お参りしましたと。
夢がありましたやろ、どんな夢を見ましたかと聞きますと、子供を一人背中に背負って荷物を持って、夢で家を出ようとしてるんですね。
近所にいつも相談にのってくれるお婆さんがいるんですね。
そのお婆さんが入ってきて、あんた何処へ行くのやと聞いてきたんですね。
私はもうここで辛抱できませんので、もう実家へ帰ろうと思うてますというと、お婆さんが、それは無分別やと。
石の上にも三年ということわざがあるんやから、あんたはまだ三年にもならんやないかと。
まあまあまあ・・・と、いって家の中へ押し込まれたそうです。

そんな夢を見たので、これは家を出るなということやなと、和尚さんも出るのはいつでも出れるというたし、それでちょっと辛抱しようかと思うて辛抱してましたと。
今になってみたら、やっぱり和尚さんのいうように出んで宜しおましたと。立ち話で詳しいことはわからないけど、こういうことでした。
そういうことでちゃんとお告げをくれるんですね。
これもお地蔵さんの方便ですね。

お地蔵さんはいろんな方便で以って我々を済度してくれるのですから、ありがたいですね。
この夢見地蔵というお地蔵さんは、どういうことでこの名前がついたのか、夢で現れてきたから付いたお地蔵さんかなあと、和尚さんは夢見地蔵の前を通るたびに思っていたそうです。

そうしましたら、近所の人でちょいちょい寺へ遊びに来てた人がいて、その人が家賃を滞っていて、家主から出てくれと言われてたそうです。
その人が遊びに来て、和尚さん、この前変わった夢を見ましたと、夢の話しをするんですね。
どんな夢の話しかと聞きますと、夢にお地蔵さんが出てきて、夢見地蔵、夢見地蔵、夢に聞け、夢に聞けと、こう言いましたんやというのです。

それで和尚さんは、その話しを聞いて、あのお地蔵さんは夢見地蔵だなと思って、あのお地蔵さんは夢で知らせてやるからお参りしなさいと、催促してくれてるんだと。
だから一週間、一所懸命あのお地蔵さんにお願いして好きな物でも断って、私はどうしたらよろしいのか夢で知らせて下さいとお願いしなさいと言ったんですね。それでその人はそうした。

それで和尚さん、夢を見ましたと言って来た。
どんな夢を見たと聞くと、和尚さんの寺の境内で夜店を出してる夢を見たそうです。
和尚さんは驚いて、こんな境内で夜店を出してどうなるのかと。