moonlight 改稿版(前編)
「こういうときって、わたしから聞くべきなのかなぁ……?」
「大丈夫よ」
みちるがネオの前へと出る。
「そんなに仲良くやっているのなら、楽しいと思っているわよ。寂しいんじゃないの?」
「だといいんだけど……」
「まあ、人間、誰にだって言えない悩みの一つや二つはあるからね」
「うーん、でもなあ……」
精一杯の作り笑顔っぽかった実緒の表情が、ネオの脳裏に焼き付く。
とにかく、煮え切らない気持ちでいっぱいなのだ。
「誰にだって、言えない事はある」というみちるの言葉も理解できる。でも、吐き出すことでスッキリすることだってあるはずなのだ。そのための友達なんじゃないのか、とも思う。
――本当に黙って見守るべきなのか。
「ネオ、心配し過ぎだよ」
ネオは右肩を優しく叩くみちるを見つめる。
「そんな風に考えることは良い事だけど、言いたくない事まで踏み込んで『話してよ!』と押し付けたら嫌われてしまうよ」
『嫌われる』という言葉に、ネオはビクッ! と背筋に電撃が走った。
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ