moonlight 改稿版(前編)
仏のように、実緒に道を指し示す。
「わたしだって、同じよ! 不安も少しはあるわ! でも、わたしには認めてくれる人がいた。才能を認められることって、本当にすごいことなんだよ! そういう友達や人が少なからずいるってことは、前に進んでる証拠! わたしはもう実緒のファンだよ! あんたを認めてるんだよ! 応援しているんだよ! 進んでいるんだよ! 頑張ろうよ!」
胸に置いた右手を力強く振り払う。
黙ったまま、実緒はネオを見つめる。本当にこの人は真っ直ぐだ、と心からそう思う。そして、勇気をくれる。
「だから、勝手かもしれないけど……わたしは、実緒のことを同じ夢を目指す『親友』で、ジャンルが違っても、『ライバル』だと思っているから。負けないわよ!」
「ええっ!」
勝手に宣戦布告するネオに、動揺する。
「なによー、嫌?」
むー、と実緒の顔を覗く。
実緒は顔を横に振ってみせる。
「う、ううん。イヤじゃないよ。ただ……」
「ただ?」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ