moonlight 改稿版(前編)
「うん。白黒で塗ろうと思うけど、どうかな。縁取るからひとりひとりが目立つと思うんだけど……」
「実緒が思うなら、それでいいよ」
「えっ、いいの?」
「わたしは実緒の慣性(かんせい)を信じているから!」
ルンルン気分で答えるネオ。このテンションは、一日中続きそうだ。
「あ、ありがとう……はあーっ」
実緒は、ものすごく喜んでくれたことに一息つき、空気が抜けたかのようにへたりこむ。
そんな彼女を見て、
「もう、大袈裟(おおげさ)なんだから」
ネオは苦笑する。
「だ、だってぇ……」
じ、自信が、と実緒は小さく呟く。
「もう、卑屈なんだから……いい、実緒!」
ネオは立ち上がり、胸を当てながら、
「少しは自信を持ちなさい! 実緒はできる子なんだよ! 少なくともわたしはそう思っている! 卑屈になってたら、前へと進めないわよ! 恐れる必要なんてない!」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ