moonlight 改稿版(前編)
首を少し傾(かたむ)けて笑う彼女が、実緒には救いの手を差し伸べる天使のように見えた。
少し楽になった気がした。
「だ・か・ら! 見せて!」
「ええっ?」
実緒の鼻がくっつきそうなところまで迫るネオ。
「約束! したでしょ! わたしがこれを見せたんだから、あんたも早くみ・せ・て!」
「は、はいっ!」
ドアップのネオのご立腹ぶりにビビったのか、実緒は慌てて机の上にあるファイルを取る。勢いよくペラペラとめくっていく。
「あ、あった! ……はい」
ファイルからA4の画用紙を取り出し、ネオに見せる。
「ありがとう。どれどれ……おおー……!」
感嘆の声が漏らしながら、手に取った実緒のノートを見つめる。
「ど、どう……」
実緒は顔を赤くし、もじもじしながら身体を左右に揺らす。
「すごい……すごいよ! わたしたちらしいよ!」
「ホントに?」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ