moonlight 改稿版(前編)
『うるせぇ!』
マイク越しで健斗がツッコむ。
「ボーカル、ネオちゃん以外にもいるんだ……」
その映像を見て、ポカーンと口が開く実緒。
「うん、わたしは未だに納得できないんだけどね」
怪訝(けげん)な顔つきで映像を見るネオ。
「何かあったんだ」
「うん、あったの」
――それは、ロックフェス開催一週間前のこと。
「だーかーらー! アニメソングには、J-POPとは違う魅力があるんスよ!」
「魅力、ねぇ……」
ネオはうーん、と呻くように考え込む。
――だめだ、やっぱり理解できない。アニソンの魅力。
こいつにボーカルをやらせたのは間違いだったのでは、と思う。でも、入部前にカラオケ」で聴いた声が良かったから文句は言えまい。
「わたしはミニコンサートでやっている曲のほうがいいんだけどねぇ……」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ