moonlight 改稿版(前編)
そして、
「じゃあここで一旦、おふざけターイム!!」
謎のコーナーの始まりに、観客たちは響(どよめ)く。
『どーしても、この舞台で自分のキャラをさらけ出したいというメンバーがいるので、くぁわりに歌ってもらうわよーっ!! なるお――――――っ!!』
『うおぉぉおおいっ!?』
あらかじめ決めていた演出ではないが、奥のドラムがある場所から、某有名お笑い芸人事務所が劇場でやっている舞台ばりのズッコケをなるお……いや、ナル男こと野上健斗。いつも演奏する時に巻いているバンダナがずれる。開場からぶわっ! と笑いが巻き起こる。
自分のことを『ナル男』と言われたのが気に障(さわ)ったのか、顔を赤くしながら大股開(おおまたびら)きでネオの下へと行き、
『本番中にそれを言わないで下さいよっ!』
ネオが持っているマイクをぶんどり、ボーカルの位置へと立つ。逆にネオは、奥にあるドラムの席へと座る。
健斗はマイクを叩き、調子を伺う。
すると、目の前にいる女の子たちから、
『ナル男――――っ!!』
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ