moonlight 改稿版(前編)
ネオは辺りを見回す。
「……わたしの部屋と全然違うわね」
螺旋(らせん)階段を上った先にあるこの部屋――実緒の部屋。
この趣味全開と言わんばかりのコーディネートは一体何なんだ?
ネオから見て左の隅にあるタンスの上には、綺麗に並んだクマやパンダなどの可愛いぬいぐるみが並んでいる。タンスの隣は、自分の机が置いてあり、教科書などがきちっと整理されている。右の隅に置かれてある縦に長い3段の本棚には、漫画(もちろん『ミラーマジック』が全館揃っている)と絵の入門書やずらっと並んでいる。
仕上げはこの部屋を象徴する色――壁やカーテンが全てピンク。そしてカーペットもピンク。そして実緒の穿(は)いているカーゴパンツもピンク! ピンクピンクピンク! 部屋全体ピンク一色!
学校で見る彼女の雰囲気とは裏腹のファンシーな部屋に、目からうろこが落ちる。どこでもドアで別世界に連れてこられたのかと思った。
「……どうやったらこんなに可愛い部屋になるのよ?」
「えっと……綺麗しようと思って、色々とこだわってたら壁紙も貼りたくなって、気がつけばこんなになっちゃた」
つまり、あくまで自然の摂理でなった、ということ?
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ