moonlight 改稿版(前編)
「だから言ったのに……はい、お茶」
「ありがとう」
あやうく熱中症になるところだった……、とカーペットの上にへたりこんでるネオは、お茶をグイッ! と飲み干した。
乾ききった喉が一気に潤い、
「ぷっっっはーっ、生き返った――――っっ!」
ドン! とローテーブルにコップを叩きつけた。その姿はビールで疲れを流し込むサラリーマンのようだ。この瞬間だけ、ネオは間違いなく中年のオッサンへと変わった。
そのオッサンに実緒は、
「じゃあ、もう一杯いりますか? ご主人様?」
「うむ。いただこう……って、わたしはアキバ系の男どもか!」
メイドのような姿勢でネオをもてなす彼女に、すかさずツッコミを入れる。その空気が妙に可笑しくなって、二人は笑い合った。
実緒の意外な一面をまた見ることができ、ネオは嬉しかった。打ち解けてよかった、と心からそう思う。
ふう……、と一旦、呼吸を落ち着かせ、
「それにしても……」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ