moonlight 改稿版(前編)
……。
はああああっ?
「うっそーん! こだわるにもほどがあるわよ、これ。……わたしなんか、音楽雑誌やら、楽譜やら、ぐちゃぐちゃに置きっぱなしでも、平気に中へ入れるもん」
「そ、そうなんだ……」
それはどうかと……、と思いながら実緒は微苦笑してみせる。
「すっごぉー……」
病(や)みつきになるとここまでやるのか! その精神に、ネオは感服した。絵もそうだけど、実緒ははまるとすごいんだなあ。自分もそのぐらい音楽を極めないと。
「で、おじさんとおばさんはどんな仕事をしているの?」
「お父さんは銀行員で、お母さんはファッションデザイナーだよ」
「へぇー、ファッションデザイナーかあ。かっこいいなあ……」
父親は普通だが、母親がデザイナーとは……、ネオは何となく実緒が絵を描いているルーツが分かったような気がした。そして、その可愛い容姿もおそらくはお母さんが作ったものだろう。
自分も……というか、moment’sの服を作ってほしいなあ。デザインはだいたい決まっているし、それを四人とも一緒にして団結してる雰囲気を作って……、
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ