moonlight 改稿版(前編)
全身から噴き出す汗と、死にそうな友の顔に実緒はあっけにとられる。
今日の彼女は、学校の時のような真面目な雰囲気ではなかった。
いつも見るストレートの髪ではなく、少しウエーブをかけてふわふわしており、白い水玉模様がある紺色(こんいろ)のチュニック、ピンクの九分丈カーゴパンツと、いかにも可愛さを引き立てる、夏にピッタリの服装。その姿はまさに可愛い! のひと言。男子も女子も関係なくノックアウトされる愛くるしさ! まるでモデルみたい!
学校でもそんなんでいいのよ! と言ってやりたいが。
「つかれたぁー……」
「ちょ、ちょっと、ネオちゃん!?」
つかれた、の4文字しか浮かばす、実緒にもたれかかった。
やっぱり、ここまで登ってくるバスに乗ればよかった。
後ろから、ブロロロロロ、と大きなエンジン音が聞こえた。
「本当に、大丈夫?」
「な、何とか……聞いたときはそれほどでもないと思ってたけど……地獄だわ。あれは……」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ