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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight 改稿版(前編)

INDEX|52ページ/89ページ|

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「うわ、やば……」
 灼熱(しゃくねつ)の太陽の下、ネオは全身汗まみれだった。せっかく友達が外出用に選んでくれたパステルブルーのシフォンブラウスと七分丈のデニムにも汗の湿り気を感じ、べたべたする。ホント、せっかくの服がこんな形で不格好になってしまい、友達にも実緒にも申し訳ない。
 だって大変だったのだ。ここまで来るのが!
 ――それはまさに、試練という言葉がお似合いだった。
 家を出て、通学用の自転車で軽やかに国道沿いを進む……まではよかったのだが、教えられたルートは徐々に国道から離れていき、狭い道を通り、しまいにはあの坂――総合坂よりも急な角度の長い坂が待ち受けていた。この試練を乗り越えたら、絶景や楽園が待っている、と思うくらいの。灼熱の太陽の下で、これは反則だろう!
 実緒が親の車で毎日登校するのが理解できた。
 地獄から天国に這い上がらないといけない状況を目の当たりにして、ネオの身体はへなへなにふやけて、自転車のハンドルバーの上にもたれ掛る。しかし、その先で親友と思っている実緒が待っているのだ。彼女が笑っている姿が脳裏に焼き付く。そんな彼女を、自分がここで引き返して、悲しませ、「友達をやめる」なんて言われたくない。「大変だよ」と忠告してくれた実緒に「大丈夫だから!」と余裕の表情で言ったのは自分なのだ。責任を果たさないと。