moonlight 改稿版(前編)
『お隣どうし、仲良くしようね!』
入学当初、中学時代の噂がきっかけで同学年から恐れられていたにも関わらず、平気な顔で話しかけてきたのだ。最初は軽々しくてうっとうしいやつだと思ったが、徐々に打ち解け、自分もギターを趣味で引いていたことを話し、ネオと共に一年間、校内や路上で必死に音楽活動して、今に至っている。彼女のおかげで、みちるにも友達がたくさんできた。
ネオとはそういう人なのだ。ワガママな部分もあるが、海よりも広い心の持ち主なのだ。その良さは羨(うらや)ましく思い、同時にそんな彼女の友達でいられることに、みちるは誇りを持っていた。本人には話せないけど。
「そういえば夏休み中、あんた、活動が終わってすぐに帰ったことがちょくちょくあったけど、彼女と遊んでいたの?」
「うん、そうよ」
「ふうん」
夏休みの活動は普段とは違い、演劇部が使わない日を利用して午前中から活動していた。そのため午後からはフリーなので、実緒の部活の休みに合わせて遊びに行っていたのだ。
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ