moonlight 改稿版(前編)
――そんな日々が毎日続き、気が付けば九月の中旬。
まだまだ残暑の厳しいこの季節。しかし、そんな暑さをものともせず、総合祭へ向けて、先に参加が決まったネオたちのテンションは、日に日に高くなっていく。
今宵(こよい)も沈む夕日をバックに、演劇部の活動を終えたプレハブ小屋で、せっせと機材を準備し、活動を始めようとした……のだが、
「ネオ先輩、遅いっスねぇー」
健斗(けんと)が呟く。
「前もそんなことがあったような」と巧(たくみ)。
腕を組んで苦虫を噛みつぶしたような顔のみちる。
三人は何の返事もないネオを待っている。
今日は総合祭でやる選曲を一通り音合わせする日。そのため、ボーカル兼リーダーである彼女がいないと練習にならないのだ。
壁に飾られている時計の針は六時半を指している。活動開始の時刻から三〇分経過。
「ほんとあの人、何やってんっスか」と不満を垂らす健斗に、
「アレでも二人の先輩でリーダーであって創部者だってのに……自覚がないのかねぇ。何度言ったら分かるんだか」
額に手を当て、呆れるみちる。
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ