moonlight 改稿版(前編)
「ネオー」
「!」
――実緒のピンチに応えるように、みちるが教室へと入ってくる。途端にネオは、急に姿勢を真っ直ぐ伸ばし、彼女を見つめる。
黒薔薇の女王は、不機嫌な顔をしている。
「み、みっちぃ……」
「……早くしな。みんな、ネオを待っているから」
「え!? まだじゃないの?」
「今日は演劇部が休みだから、昼からやろうって言ったのはどこのどいつだよ?」
ゴゴゴゴゴ、と揺れるのを感じる。
え? ちょっと待って! とネオは速攻(そっこう)で昨日のことを頭の中でふりかえる。
――ええっと、夏休みに市内の音楽ホールでやる、『アマチュア・ロック・フェスティバルin IWAKUNI』の音合わせをするのは良いとして、昨日、活動前に演劇部の部長から「明日、休みだから、昼から使っていいよ♪」って言われて……、昼からやれる! いっぱい練習できる! うれしいーっ! ひゃっほぅ――っ! と大はしゃぎしていた……ね。
ネオの額から冷や汗が垂れる。
「あは、あははははは……ごめんなさい」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ