moonlight 改稿版(前編)
従順(じゅうじゅん)しているしもべのように、ペコッと謝る。
「まったく、夢中になりすぎなんだよ。見ろ!」
「あ……」
辺りを見回すと、教室にいるのはネオと実緒だけで、がらんとしている。
実緒も罪悪感を感じたのか、席から立ち上がって、
「ご、ごめんなさい! 気づいていたけど、ネオちゃんがあまりにも楽しそうに話すから、ついわたしも……」
「いや、謝らなくてもいいよ。悪いのは、迷惑ばっかりかける、こんの、ひ・と・で・な・し!だから」
みちるはつっつくように、人でなしに向かって指を差した。
ネオは実緒の足元にある自分の鞄をすぐに持ち上げ、ピンと姿勢を正した。
「じゃあね、実緒!」
ネオは学校指定の革靴に履きかえ、下駄箱と下駄箱の間から見える実緒に手を振る。
「うん……また、明日」
実緒も微笑みながら手を振る。
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ