moonlight 改稿版(前編)
「でも……」
実緒は自信のない表情を浮かべ、俯(うつむ)く。
あー、もうっ! とネオは髪をかきながら、
「いーい、実緒! わたしは別にあんたの努力を否定するわけじゃないの! いや、否定なんかできないよ! 人が時間をかけて作ったものをバカにはできない。その人に失礼だし、頑張ることは素敵なことだもん。わたしはどこぞの批判住民とは違うから!」
自分がどのように思っているか、言葉を探しながら実緒に伝える。
「ネオちゃん……」
偽りのない強い瞳に引き込まれる。
「じゃあ、こうしよっ! わたしもお気に入りの曲とか部活で歌った音源とか見せるから、実緒も見せるってことで。これなら、おあいこでしょ?」
初めからこう言えばよかったと思いながら、ネオは提案する。
「ネオちゃんがそういうなら……分かったわ。その代わり、私が持ってきた次の日は、ちゃんと持ってきてよ」
「りょーかい! 約束よ!」
ネオは拳(こぶし)を作り、実緒の前へと出す。
彼女はそれが何のことか一瞬戸惑うも、
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ